島嶼地域をオンラインでつなぐ授業と部活動の場づくり

背 景

うるま市の島嶼地域の学校では、生徒数が少なく、さらに減少傾向にあることから、子どもたちの交流の機会や課外活動の機会が限定的であり、多様な考えに触れにくいなどの「教育格差」が課題となっています。また、このまま生徒数の減少が続くと、将来的には学校存続の危機にもなりえます。
そこで、うるま市の島嶼地域「伊計島」に本校を置き、全国広域の通信制高校「N/S高等学校」を運営する学校法人角川ドワンゴ学園のリソースをベースに、インターネットを活用して学校間・生徒間で協働で取り組む部活動や地域学習のためのフィールドワーク、情報発信のプロジェクト学習などを実施し、地域内外と連携して課題解決や価値創造に取り組める人材育成を図ることにより、特色ある学校づくりを行い、生徒数の増加および生徒の学力向上を図ることを目指し取り組みがスタートしました。
このプロジェクトにおいて、これらを持続可能な体制で展開していくにあたり、rokyouは地域、教育行政、学校教職員などと信頼関係構築や現場コーディネートを担当することとなりました。

取り組み

①②ともに学校法人角川ドワンゴ学園と協働でプログラム開発や授業・部活動でのファシリテーション、現場での運営サポートを行っています。

①「ネット授業」 平安座島の彩橋小中学校と津堅島の津堅小中学校の2校を対象に、「総合的な学習の時間」を活用してネット授業を実施。
授業では、主に「情報」「キャリア教育」「地域・環境」の3つの視点からプログラムを構成し、他地域や外国の小中学校とのオンライン交流や2校(彩橋・津堅)の対面交流なども交えた授業づくりを行っています。プログラムの中では、初対面の人や直接場を共にしない人とでも、良好で心地良い関係性づくりや自己表現ができるようSELの要素も織り交ぜています。

②「ネット部活」 彩橋小中学校、津堅小中学校、与勝第二中学校、N中等部の4校を対象に、ネット部活を実施。
ネット部活では、ICTを活用して地域内外の人とつながり、楽しみながら答えのない問いに取り組めるようになるためのプログラムづくりを行なっています。プログラムは「協働」と「創作」をテーマに、マインクラフトやアニメーション制作、音楽制作などに取り組んでおり、発表や発信の機会も設けながら様々なスキルを育んでいます。

成 果

〇ネット部活
2021年度は、「Minecraft」上で地域を超えた文化祭を開催することをゴールに、オンライン上で協働・意思決定を行い、オリンピックイヤーにちなみ「自分達の国立競技場」を仮想空間上に創造。成果物は、沖縄県の高校生たちが地域の課題解決などのために探究・実践してきた取り組みを発表する「全国マイプロジェクトアワード2021沖縄県サミット」で披露しました。

〇ネット授業
受講した生徒を対象に行ったライフスキルアセスメントでは、「創造的思考」「ストレス対処」の向上において一定の効果があったことが実証されています。
毎回の授業内で多くの人と関わり、批評や評価をされずに自分の意思や感想を述べる機会が用意されていたことで、気づきや感情の共有を通じてストレスへ対処する能力が身についたと考えられます。
事後アンケートでは、受講生の95%が「新しい学び、特に将来への気づきがあった」と回答。「あまり人前で緊張しなくなったし、自分に自信がもてた」「自分が今まで全然知らなかったことが知ることができておもしろかった!また、あまり大人と話す機会がないので、大人から色々な話を聞けてよかった」などの声が上がっているように、授業の中、また島嶼地域の中だけではなかなか得られない学びの成果が実感できました。

rokuyouのアクション

  • 年間授業/プログラムカリキュラムの作成
  • 授業実施の現場サポート
  • SEL関連のプログラム作成と実施
  • 学校および教育委員会とのリレーション構築

お客様の声

宮城 渉 様

  • うるま市立津堅小中学校 教諭

COVID-19の影響で対面での総合学習や部活動の取り組みが難しい中、オンラインでできる内容を教員と一緒に計画しました。
生徒が自分たちで見つけた課題「10年後の津堅島はどのようにあってほしいか」について、アドバイスをいただきました。他にも島嶼地域3校の交流学習の環境構築をしてもらい、小規模僻地校のデメリット(特にcommunication)をICTで解決できるような支援をしてもらっています。
その結果、総合学習だけでなく県内外の小中学校との交流学習など他の授業でのICT活用が大幅に増加し、生徒の学びが充実してきました。
生徒だけでなく教員も一緒に取り組める活動の支援をしていただき感謝申し上げます。

景山 富士男 様

  • 角川ドワンゴ学園

島しょ地域3校へのプログラム制作と現地実施にあたって、各校のニーズ・現状の把握、地域説明会から生徒の募集、教育委員会との連携など、うるま市島しょ地域を駆け巡り東京スタッフとの接点になっていただいています。そのきめ細かい対応にいつも感謝しています。
課外授業では、現場で臨機応変に対応してくださり、回を増すごとにパワフルに各校の生徒を巻き込んでいく姿にパワーが心強く感じてます。これからもよろしくお願いします。

プロジェクトに関わって

平良 朋広

平良 朋広

  • rokuyouラーニングクリエイター
  • 沖縄市観光振興物産協会認定エイサー親善大使

人数が少ないからこそ、ひとりひとりの興味・関心に寄り添いそれぞれの個性をオンライン上で発揮できるようなサポートを現地では特に意識しています。事前に生徒たちにとったアンケートでは「10年後は地元に人が増えると良いな」という答えが少なくなかったです。
参加した生徒たちがこの学校でこの地域で学べて良かった。と思えるような機会と将来また地元に戻って来ても働けるんだと希望を持てる機会にしたいと考えています。

プロジェクト詳細

期 間 2020年6月~2024年3月(進行中)
インパクト
関わった人数 ①rokuyou 3名、②先方プロジェクトチーム 6名、③伴走した教員の数 約12名、プログラムを受けた生徒120名

プロジェクトに関わったメンバー

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